プレストレストコンクリートに鋼板や鋼管を積極的に活用した複合構造の形式が合理的な構造形式の一つとして脚光を浴びはじめてきた。ウェブに鋼波板を用いるプレストレストコンクリート桁も注目すべき複合形式である。 鋼波板とコンクリート上下フランジとの接合方法として従来から行われているように鋼フランジを波板に接合し、これにスタッドジベルを溶植したもの、異形鋼棒を鋼波板に溶接したもの、および鋼波板を直接コンクリートフランジに埋め込んだもの、の3種類の接合方法を持つプレストレストコンクリート桁を製作し、これに静的荷重を加えてその力学的な性能を把握した。この実験結果を詳細に検討して上述の3種類の複合方法の評価を行った。施工の合理化の観点から、ここで考察した異形鋼棒による接合形式の開発意義は大きいと思われる。 また、この複合構造の形式をプレキャストセグメント工法に適用する方法についても検討を行い、その有用性を明らかにした。即ち、鋼波板ウェブのみを現場接合することによって桁としての一体性が確保されることを明らかにしたのである。 なお、本研究において、鋼波板ウェブのせん断座屈耐力の算定方法が明らかにされ、この形式の構造に関する新しいせん断耐力の設計方法が開発された。
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