研究概要 |
都市高速道路では,交通荷重による道路橋振動に起因する,地盤振動が住民に及ぼす影響が重大な問題になっている.本研究は,このような道路橋の振動をアクティブ制御する技術を確立するために行ったものである. 道路橋の振動をアクティブ制御するためには,次のような問題を解決する必要がある. (1)橋梁振動制御を行うための推定機構と制御則を確定すること. (2)計算速度が十分な制御器を設計すること. (3)橋梁の振動を制御するための力を発生させる,アクチュエータを開発すること. これらの目的について,本研究で得られた結果は,次のように要約することができる. (1)推定機構と制御則の決定 カルマンフィルターを用いることにより,1点の観測量から,橋梁の状態量および車両の状態量の推定が可能になった.瞬時最適化制御則を拡張し,非定常システムに対応した新しい制御則を確立した.数値シミュレーションにより,この制御則が有効であることを確認した. (2)制御器の設計 パーソナルコンピュータとDSPを組み合わせた,制御器のハイドウェアを構成した.さらに,制御用プログラムをDSPに書き込む,一連の作業を完了した.このことにより,振動制御のための制御器の設計とシステムの構成は終了した. (3)振動制御用アクチュエータの開発と振動制御実験 橋梁の振動制御用のアクチュエータの試作を行った.このアクチュエータにより歩道橋の振動制御実験を行い,その有効性を確認した.しかし,道路橋の実験を実施するまでには至っていない. 本研究の経過において,当初計画していた,制御器の設計と制御システムの構成は終了している.研究成果の一部は,すでに報告しているものもあるが,いくつかは現在準備中である.次年度は,アクチュエータの設計変更を実施し,実用化できるアクチュエータ完成させる計画である.
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