研究概要 |
本研究の目的は、高速道路周辺の地盤振動を軽減するために、道路橋の振動を制御するアクティブ振動制御のためのアクチュエータと制御システムを開発することである。さらに、得られた制御理論とアクティブ振動制御の新しい技術を、振動制御に関心のある研究者や技術者に普及させることにある。(1)道路橋交通振動の特徴は、橋梁-車両系の振動特性が時間的に変化するところにある。そこで、このような系の制御が可能な制御器を設計する。さらに、橋梁振動制御に適したアクチュエータを設計し、その設計手法を確立する。このことにより、現実的な道路橋交通振動の振動制御技術を定着させる。(2)振動制御を実現するためには、制御理論を計算させるソフトウェアとアクチュエータを駆動させるハードウェアの知識が必要である。本研究では、制御用CADと計測用CADにより、振動制御が容易に実現できる技術的環境を確立する。 本研究で得られた成果は,次のように要約することができる. (1)制御手法の確立 交通荷重による道路橋の振動制御は,時変係数系の制御になる.そこで,制御則には,時間的に変化する最適なフィードバックゲインを用いる必要がある.本研究では,瞬時最適化手法を拡張した制御則を誘導し,数値シミュレーションにより道路橋交通振動に対して有効であることを確認した. (2)制御システムの構築 土木技術者が制御装置を設計する環境が整っていない,本研究では,制御用CADソフトであるMATLABを活用して,容易に制御装置が設計できる環境を実現した.このような環境の下で,橋梁振動制御のりための制御システムを構築した.さらに,計測用CADソフトLabVIEWを用いて,構造物模型及び実橋梁の構造物振動特性を推定する可搬型システムを制御した. (3)アクチュエータの制作 橋梁振動制御用アクチュエータを試作した.平成7年度にアクチュエータ第1号を制作したが,ドリフトが発生するなど様々な問題が発生したために,平成8年度に改良した第2号を完成させた.周波数範囲は,1〜3Hzの範囲で駆動可能な装置である。 (4)振動制御実験装置の制作 技術者及び研究者の振動制御実験用装置を制作した.自走式アクチュエータを考案し,安価で簡単に制作できる装置である.計測用CADソフトLabVIEWにより,簡単に制御器を設計することてができる。
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