研究概要 |
運動学的な方法は,カルマンフィルターを用いた補正を行えば,降雨全体の挙動はかなりよく予測が出来ることが分かった.しかしこの方法では,急激な降雨量の増大を予測するのは難しい.移流方程式と雲柱モデルを結合することにより,一次元評価法を改善できる可能性がある.二次元の中規模気象モデルでは,上昇気流の発生,水蒸気の収束と凝結,開放された潜熱が上昇気流をさらに加速するという積雲対流の発達過程を,パラメタライゼーションなしに表現でき,地上降雨の計算まで可能である. パターン分類化手法としてK-Means法を用い,約1年間93,428シーンのレーダー雨量計画像データのパターン分類を行い,代表的な20パターンに分類・表示することにより九州南部レーダーの定量観測範囲内の降雨の空間分布特性を明らかにした. 降雨の地形標高との関連性を,時間スケールを変化させることにより発見できることを示した.3カ月程度の長期間の時間平均が,降雨の地形性を示していることが示され,それより短いスケールでの偏差が,確率的な議論の対象となることを見出した. レーダデータの公開と標準化に関する議論検討を行い,その過程でインターネットを用いたアンケートを行い,研究者の要望を出来る限り取り込んだ形で建設省からデータ提供が行われるようになった.また,研究者サイドでインターネットを通してデータを再配布するためにJavaを用いたレーダデータベース構築に関する研究を行い,テストプログラムでデータベースが引けることを確認した.
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