研究概要 |
急峻な山岳地において頻繁に生起するレーダー等でもモニタリングできない局地降雨および都市の熱・水環境により生起された局地的集中豪雨について生起条件を抽出し豪雨生起後の降雨の時・空間分布特性を導くことによって,都市の豪雨水害に対して実時間での降雨予測手法を都市水害に対する防災システムの一つとして開発する事を目指し,3年計画の研究の初年度として以下のことを行った.まず,詳細な積雲の微物理過程を考慮して積雲モデルに地形情報を導入した.すなわち,詳細な積雲の微物理過程を考慮して2次元積雲数値計算モデルに地形情報を取り込むことに成功した.具体的には基礎式の力学部分にテンソル解析を用いた座標変換を用い,FFTを用いたポアソン方程式の解法を応用して座標変換後の気圧の式を解く方法を開発した.それらに,具体的な地形情報を導入した計算および研究目的にふさわしい仮想的な地形を導入した計算を行い.妥当な計算結果を得ることが確かめられると同時に,観測などでは詳細につかむことができない気象変数の分布まで解くことでレーダーなどのリモートセンシングによる降雨観測の精度向上の期待が高まった.2)次に仮想的な地形で地形の標高や水平スケールが局地豪雨を生起するような積雲に及ぼす影響を調査した.そこでは,風のシアがない場合の計算結果を解析することで,雲底高度と標高の関係を得,風のシアが有る場合の計算結果を解析することで,雲底高度と標高,一般風速と大気の気温プロファイル,風のシアと積雲の発達時間および積雲が移流する時間の関係を得ることができた.3)さらに計算で得られた関係を実際に観測するため,および数値モデルに地表面過程を取り込むために都市域および山地における地表面の熱・水環境,豪雨の時・空間分布および豪雨時の気象変数の鉛直プロファイルの現地観測を行った.観測例は1年で多数得られるものではないので,数値計算による解析結果の議論と観測結果を議論を通して,効果的な観測を行うための方針を得た.研究の遂行において1),2)を行う際の計算速度や画像処理能力の向上のためにEWS用の拡張デバイスが用いられ,3)のために各種観測備品が用いられた.
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