研究概要 |
洪水中に河岸浸食が堤防にまで及び,堤防欠壊の危険性が増大すると,人々の生命・財産を危険にさらすことになる.これを防ぐために,従来の護岸には,固いコンクリートブロックが用いられた.しかし,現在では河川に親水性や環境性が求められ,自然に近い形で河岸処理が行われるようになっている.これらの近自然工法の効果は明らかでないため,河岸の耐浸食力の評価は,自然河岸に対して行う必要がある.このためには現地河道における洪水中の浸食量を測る必要がある.本研究では,比抵抗法を用いて、現地における河岸浸食量を洪水中に測定可能なシステムを開発しようとするものである. 平成7年度に,浸食量測定装置を試作し,現地テストを行い,比抵抗法による浸食形状の逆解析を行った.その結果,土質の比抵抗が水の比抵抗よるも小さい場であったため,明瞭な計測結果を得られなかった.また,現地において河岸浸食実験及び河岸崩落実験を行った.その結果,粘土を含む層は流速2m/s程度の流速が作用してもほとんど洗掘されないことが分かった.平成8年度には,制御された場でシステムの性能試験を行った.その結果,浸食形状の大きさの変化や位置等は概ね25cm程度の解像度を有していることが明らかとなった.しかし,比抵抗の逆解析において,拘束条件等が緩いために像が乱されて,洗掘箇所と浸食箇所を区別しにくいという問題点があることが明らかになった.そのため,この像の乱れを取り除ける逆解析ソフytオウエアの開発を行った.これと併せて,河岸浸食が進行している現地河道において,現地観測及び測量を行い,現地テストを行う場の測定や状況について検討を行った.さらに,河岸浸食についてのサンプル試験を行い,土質と浸食速度の関係について検討を行った.
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