平成7年度は研究の初年度にあたるため、高速道路の交通管理に対して工学的・経済学的に検討して、理論的にこれらを統合した「乗継ぎシステム」についての交通現象解析モデルを作成した。 1)都市内道路の現行の交通緩和策に内在する問題点を整理した。また料金制度の諸問題を利用者の不公平性と混雑料金などの交通調整機能からを検討した。この結果、道路網全体の均衡的利用のための技術的方法が示された。 2)都市内道路網の混雑緩和方策としての「乗継ぎシステム」の具体的構成を検討した。現状の交通混雑と乗継ぎパターンの形成を交通調査資料より検討した。また高速道路と一般道路の混雑時の不均衡の抽出と料金再徴収を伴わない一時的迂回交通の効率的誘導方策を検討する。この点は都市高速道路の実態に詳しい大藤が行った。 3)乗継ぎ交通が存在する場合の広域的交通流動を検討するために、リンク相互作用を考慮した交通量配分手法を導入した。これは一般道路上内に2種類の運転者(迂回交通・一般道路利用交通)を想定した交通解析である。これより「乗継ぎシステム」導入時の道路網の交通均衡状態の推移を理論モデルから知ることが可能となった。 4)具体的な乗継ぎシステムの運用手法を検討するため、道路情報と利用者行動の関係についてモデル分析を行った。実証的な調査分析から、情報内容の理解の容易性、視覚的効果と併せて、利用者の経路選択モデルを作成した。以上から効果的な情報提供と適切な交通誘導策が導かれた。 5)方法論的視点から「乗継ぎシステム」の問題点について整理する。特に現実の料金政策および交通管理上で生じると考えられる問題点について検討し、秋山が上記で提案した理論的システムの修正点を導出した。これらの検討によって、本研究で提案する「乗り継ぎシステム」の理論的背景が整理され、今後の研究方向が示された。
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