研究分担者 |
久野 智明 石川島播磨重工業(株), 技術研究所, 研究員
福永 栄 石川島播磨重工業(株), 技術研究所, 課長
荒木 信夫 長岡工業高等専門学校, 都市環境工学科, 助教授 (30193072)
桃井 清至 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60003852)
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研究概要 |
本研究の開発対象となるリアクター形式は,上昇スラッジブランケット(Upflow Anaerobic Sludge Blanket:UASB)反応器と称し,微生物の付着増殖担体を用いずに,適当なる上昇流の増殖環境下で嫌気性微生物群の自己固定化作用(Self-immobilization)を利用したグラニュール状の集塊増殖体(直径0.5〜2mm程度)を形成させることによって,高濃度の生物保持を可能にし,その結果飛躍的に容積負荷が増加でき,高速処理を許容する培養技術である.UASB法は,易分解性で溶解性の主に食品・飲料工業や紙・パルプ廃水種などの処理には,既にある程度成熟段階に達した技術とみなされている.しかし,現在世界中で稼働しているUASBプロセスは,すべて中温域(30〜38℃)もしくは無加温で操作されており,高温UASBプロセスの実機は国の内外を通じて一機も存在していない.本研究の最終課題は,高温UASBプロセスの開発によって,これまで生物処理では前代未踏であった有機物容積負荷100kgCOD/m ^3・日(例えば,廃水強度COD 5,000mg/Lの場合,HRT(水理学的滞留時間)は僅かに1.2時間)以上の超高速処理装置を実現することである. 本年度は,アルコール蒸留廃水を供試した長期連続実験により,高温UASBプロセスのフィージビリティを検討した.その結果,スタートアップ期間の短縮を測る目的で植種汚泥として中温グラニュール汚泥を用い、高温UASBリアクターのスタートアップ期間における,処理特性の把握と保持汚泥の中温菌から高温菌へのポピュレーション・シフト(メタン生成活性の温度依存性)の様態を明らかにした.
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