研究課題
試験研究(B)
本研究は、京阪神に建つ構造物の地震応答の同時観測システムを構築し、地形・地盤・構造形式など異なった条件下での入力データ・応答データをオンラインで収集することにより、地震動の時間的・空間的分布を把握するとともに、各地形・地盤における構造物の地震応答特性を明らかにして、京阪神における構造物設計用の地震動を策定する手法を導くことを意図している。その基礎的段階として、異なる観測システムにより構成される3大学間のネットワークを構成し、情報交換を行う場合の問題点を抽出し、その解決策を得ることにより、さらに大規模、かつ、高精度なネットワークに拡張することにより、貴重な地震情報と応答情報を官民が共有することが可能となる。一方、建物の耐震安全性の評価に関連した近畿圏のマクロゾーニングを含む設計用地震振動を評価する手法を研究する。本年度は、京都大学防災研究所の鋼構造実大試験架構で地震応答観測を実施し、ISDN回線を介して現時点までに8個の地震を記録するとともにデータ転送にも成功した。今後は、このような技術を広域観測システムの開発に適用する。大阪工業大学、神戸大学において独自に観測体制の充実を図り、3大学で京阪神を対象とした構造物の地震観測を行い、設計資料を蓄積している。各大学で得られたデータを持ち寄り、構造物応答と地震入力の関係、地域による入力と応答の相違、今後の観測計画、ネットワークシステムの構築に関する討論を行った。それと同時に、各研究者は役割分担に応じて、地震動の時空間分布、構造物応答と推定手法、信頼性設計手法などに関する研究を進めている。
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