研究概要 |
平成9年度の研究成果は,以下のとおりである。 1)炭酸化養生したモルタルは気中養生した場合の圧縮強度では約2.3〜3.6倍,引張強度では約1.7〜3.4倍,動弾性係数では約1.8〜2.7倍の値が得られた。炭酸化したモルタルの引張強度は,圧縮強度の約1/8〜1/12程度であることを明らかにした。また細骨材の混入によって脆度係数が小さくなり,粘り強く成ることが分かった。 2)炭酸化したモルタルの耐薬品性試験結果,炭酸化促進養生したモルタルが連による劣化を遅らせていることが分かった。さらに凍結融解試験を行った結果では炭酸化促進養生した試験体が耐凍害性に優れていることが分かった。 3)部材劣化の原因となる空間内に滞留する湿気について,同様の事例分析と試算からその対策を検討した結果,空間が、密閉されている場合に,主発生源である人体から発生した高湿空気は空間上部に滞留した後結露する可能性が高くこれには動力の必要の無い煙突効果による換気が有望であることが分かった。 4)地動加速度が80〜100Gal程度の地震時の層剪断力係数はイスタンブールの組積造では0.18となり.自重と水平荷重を考慮した構造解析結果,大聖堂は東西・南北両方向とも安全であることが分かった。しかし,300〜400Gal程度の地震に対しては,東西・南北共危険であることが分かった。 5)構造解析の結果,大聖堂の構造的弱点が東側と西側の横断アーチの中間の高さに発生するヒンジにあると推定し,構造保存のためには横断アーチの補強が必要であることが分かった。
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