研究課題/領域番号 |
07555185
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大塚 和弘 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50029881)
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研究分担者 |
水戸瀬 賢悟 古河電工(株), 横浜研究所, 研究員
鈴木 雄一 古河電工(株), 横浜研究所, 所長
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キーワード | 高温形状記憶合金 / 形状記憶合金 / Ti-Pd-Ni / Ti-Pd / 再結晶 / 形状記憶歪 |
研究概要 |
これ迄の研究でTi-Pd-Ni高温形状記憶合金の特性改善には適当な温度でも加工熱処理が有効なことを明らかにした。B添加をすると、固溶したBが粒成長を押さえるという点で効果的であるが、TiB_2析出物が大き過ぎるという問題点があり、この析出物の粗大化は均質焼鈍の過程で生ずることが分かったので、本年度の実験では均質焼鈍はしないことにした。本年度は更に、Ti濃度50%の化学量論的組成からズラせたTi_<50+x>Pd_<30>Ni_<20-x>合金における時効析出挙動を詳しく調べた。その結果、Ti濃度を化学量論的組成からズラすと時効析出が生ずるが、Ti-poor側では変態温度が下がるので好ましくないが、Ti-rich側ではそのようなことはなく、形状記憶特性改善にも有効であることが分かった。そこでTi_<50>Pd_<30>Ni_<20>合金をベースにして、B添加した合金、TiをTi-rich側にズラせた合金と、B添加とTi-rich側に同時にズラせた4種の合金を作製し、これに焼鈍温度を673Kから1073K迄変化させた試料を用意して、形状記憶特性試験を行って永久歪量及び形状回復率を測定した結果、Ti-rich合金773Kで時効した場合に最も優れた形状記憶特性の得られることが分かった。制限視野電子回折法で解析した析出物の構造はまだ完全に同定できていないが、正方晶のC_<11b>構造と考えられる。又以上の他、本研究ではマルテンサイト状態での再結晶が見出された。これは現象自身が極めて興味深いが、一方で使用中組織の安定性を阻害するものであり、高形状記憶合金の使用温度の上限を制約するもう一つの因子になることを示すものである。新しく開発した装置を用いた繰り返し特性評価も行っているが、この装置による加熱冷却の試験が長期間(〜10h/本)を要するため、現在も続行中である。
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