| 研究概要 |
いかなる試料についても,任意の試験条件(温度・圧力)下で,しかも簡便に陽電子寿命測定を可能にする新しい材料評価装置の試作・開発を進めた.新装置は,線源からの白色陽電子を磁場レンズを用いて高エネルギー部を選別し,陽電子自身でスタート信号を取ったあと試料に照射し,消滅ガンマ線でストップ信号を取る全く新しい原理に基づいている.
1.装置全体の設計と性能のシミュレーションを行った.
2.新しい装置の本体をなす総アルミニウム製超高真空容器を設計製作し,真空度その他の試験を完了した.
3.線源からの白色陽電子線の高エネルギー部分を選別するための磁場レンズを設計製作し,所期の磁場強度とその分布が得られることを確認した.
4.陽電子自身でスタート信号を取るための検出部を製作し,陽電子の透過率と検出効率が最適となる条件を求めた.
5.システム全体の組立調整を行い,磁場レンズによるエネルギー選別が予想どおりに行われることを確認した.
6.高温その場測定のための高温試料加熱装置を作成した.
次年度は,システム全体の総合試験の後,実際の材料について高温その場測定を実施し,この全く新しい材料評価装置の有効性を実証する予定である.
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