研究概要 |
1)正極材として最も有望視されているLiMn_2O_4および新しい可能性としての金属含有V_2O_5ブロンズの合成のためのソフトプロセスについて検討した. 正極材としてのLiMn_2O_4微粒子をリチウム,マンガンそれぞれのジカルボン酸(酒石酸,マロン酸,コハク酸,蓚酸)塩を用いて450℃以下の比較的低温での合成できることを明らかにした.その生成機構をジカルボン酸の役割に注目して検討した.また,生成したLiMn_2O_4の構造パラメータ(結晶性,陽イオン分布,格子定数,など)と電池性能(電池容量,クーロン 効率,など)との対応関係を検討し,その結晶性が電池容量に強い影響を持つことを明らかにした. ニッケルイオンを含有したV_2O_5キセロゲルを60℃で合成するプロセスを開発し,そのキセロゲルを400℃で加熱処理することによってブロンズに変換した.このブロンズの正極としての容量を決定し,リチウムの挿入量を支配する構造因子を検討した.リチウムの挿入がホストV_2O_5の電荷バランスによって支配されているのではなく,ホストの結晶構造中の挿入可能な場所が決まっており,その数によって支配されることを明らかにした. 2)球状フェノール樹脂から700〜1200℃の比較的低温で,種々の雰囲気を用いて,炭酸化することによって作製した炭素材について,特に気孔構造を中心に評価した.炭酸ガスおよび窒素ガスの吸着および脱着等温線の詳細な測定,解析から,フェノール樹脂の炭素化と活性化(賦活)プロセスを区別して議論した.また,その電池電極としての挙動について予備的検討を行った.
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