研究概要 |
赤外線スペクトル観測用加熱真空炉を製作し試料作成法とともに試験中である. 真空中で加熱すると500℃より高温で表面水の脱水が起こり,あとに鋭いシラノール基,SiOH,が観測される.常温で60%程度の相対湿度の空気を導入して冷却すると,水の吸収が現れ,シラノール基の吸収は観測出来なくなる.これらの結果は以前に乾燥空気中で冷却した直後に観察した結果と一致している. スペクトルの観測と平行して,表面化学処理の実験を行っている.ゾル・ゲル法で作られた多孔質ガラスは1000℃まで加熱しても表面シラノール基は残存し,シランカップリング剤に反応する. 水エタノール混合液の流出量が多孔質ガラスの表面処理の有無によって変化する事を示した.ガラス壁を濡らさない液体は細孔を出た所で細孔子の径の約9倍の粒子径の液滴となり,適当な液体を連続相に選べば比較的に分散相の粒子径が一定の懸濁を得る事が出来る.親水性の素材管からは油/水の懸濁が,表面の化学修飾で疎水性とした管では水/油の懸濁が得られる.ここでは,スチレンの懸濁をミクロ懸濁重合させて得たポリスチレンの微粒子をシリカの微粉末で被覆したもの,あるいはポリスチレン微粒子の表面をスルフォン化したもののシリコン油中の懸濁物に外部から電圧をかけ,微粒子を配向連鎖させ,これによって見かけの粘性を変化させる,電気粘性効果を観測した.このことについては国際シンポジウムや高分子学会支部講演会などで紹介し,各種の利用技術との交流を試みた. シランカップリング剤によって表面をアミノアルキル化した多孔質ガラスには各種のタンパク質,ムコ多糖類を結合させる事が出来る.すでにリパーゼ等の酵素やヘパリンのようなムコ多糖を結合させてその機能性を確認している.また,遺伝子組み替えによりまたクロマトグラフィーにより二重に精製単離した酵素を用意し,酵素により機能化した多孔質ガラスの有用性について研究を進めている.ここでは数種の酵素を精製準備し比較のために種々の支持体に固定化してその有効性を確認している.
|