研究概要 |
低比重、高比強度、高い高温強度の長所を有するが、脆い短所を示すTi-Al系金属間化合物をマトリックスとする繊維強化複合材料を作製するために、比較的簡単なプロセスである自発的浸透法およびin situ反応を用いることにした。方法としては、まずTi粉末(<44μm)とAl_2O_3短繊維(97%Al_2O_3-3%SiO_2,直径2-5μm)を水中にてプロペラ攪拌機によって混合し、乾燥後軽く粉砕した。次に、この混合粉末をアルミナ坩堝の下部に充填後、粉末層をTampingして層中の空隙を低下させた。この上にモル比でAl:Ti=3:1となるように純Alを置、高周波誘導炉を用いてアルゴンまたは窒素雰囲気下にて1273Kまで加熱して保持した。その後、空冷して坩堝から試料を取り出した。この試料から直径約5mm,高さ約5mmの円柱状試験片を作製し、エメリ-紙およびダイヤモンドペーストを用いて表面を研磨し、アセトン洗浄を行った。この試料について、まず自動記録式熱天秤を用いて,1173K、1073K、973K、大気中にて酸化重量を測定し、酸化速度を求めた。その結果、自発的浸透・in situ反応後の試料には気孔が存在するが、Al_2O_3短繊維の混合割合の増大とともに気孔が少ない組織が得られた。Al_2O_3短繊維は生成したAl_3Tiマトリックス中にほぼ均一に分散し、酸化速度は試験温度の上昇とともに増加した。また、初期酸化速度はAl_2O_3短繊維の配合率の増大によって大きくなるが、酸化途中からは酸化速度が低下し、短繊維無添加の金属間化合物の酸化速度より低下した。また、圧縮強度はAl_2O_3短繊維を含まないAl_3Tiは平均460Mpa,5vol%Al_2O_3短繊維を含むAl_3Tiでは626Mpaとなり、Al_2O_3短繊維による強化が見られる。
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