研究概要 |
本研究目的は,パウダーコンポジットを利用・発展させて三次元傾斜機能構造材料を開発することである.具体的には、まず、数種類のパウダーを選択して加振充填を行う.次に、その気孔部に水を含浸させて冷凍庫で凍結させてパウダーコンポジット要素を仮製作する.同様にして、複数個のパウダーコンポジット要素を個々に仮製作する.最後に,各パウダーコンポジット要素の全てが入る密封型の中に、凍結仮製作したパウダーコンポジット要素を順番にセットし、凍結解除、真空引きと乾燥機による水分除去を行った後に、結合材を真空引きによって含浸・硬化させて各パウダーコンポジット要素を一体化させ,三次元傾斜機能特性を有する構造用新素材の開発をしようとするものである.今年度分の研究成果を以下に示す. (1)所望の物性値を持つパウダーコンポジット要素を得るためのパウダーと結合材の種類,重量比を決定するためのプログラムの開発を終了し,データベース中の材料の組合せをさまざまに変化させて繰り返し計算を行い,パウダーコンポジット要素に要求される物性値を得るために必要な構成材料の組合わせとその重量比を求めることが可能となった. (2)パウダーとしては鋼球,銅球,アルミナボール,ジルコニアボール,窒化珪素ボール,ガラス玉,ナイロンボール,ゴムボールを使用し,結合材としてエポキシ樹脂を使用して,三次元傾斜機能構造材料の製作技術を確立した.また,実用化のために必要な作業性・フリージング特性・乾燥特性などの基礎データの測定・整理を行った. (3)製作した試験片境界面の3点曲げ試験によって,各パウダーコンポジットの境界面の微視的・力学的な挙動を観察・評価をした.その結果,境界面には両コンポジットの成分からなる中間相が存在し,その力学挙動もちょうど中間的であり,各コンポジットが連続的に接合されており,1体構造物とみなせることを確認した. 以上の結果は,来年度の実験を行うための基礎データとして有効に利用することが可能である。
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