研究課題
試験研究(B)
Al-TM-LnおよびMg-TM-Ln系(TM=遷移金属、Ln=希土類金属)合金を急速凝固することによりアモルファス相が得られ、これらのアモルファス相を低温時効することにより約10nm直径以下のfcc-Alあるいはhcp-Mg粒子がアモルファス母相中に分散したナノ複相が得られる。これらのナノ結晶析出は微細粒のために転位を含むことが出来ず、完全結晶を有している。この完全結晶構造に由来する高強度を利用して、Al基およびMg基の超高強度材料を開発するための研究を本年度で行ってきた。得られた主な成果を列記すると以下のようになる。(1)Al-Ni-Nd系において、ナノ組織が得られる合金組成と共晶Nd組成とが一致するために、ナノfcc-Al粒子がより一層微細、均質化し、最大引張り強さが2000MPaを上回る超高強度が得られることを見出した。これは従来のAl基結晶合金の最高強度を約3.5倍も上回る高強度であることが特に注目される。(2)このAl-Ni-Nd系のアモルファス合金粉末を本研究経費で購入した主設備品である二段ガス液体急冷装置を用いて作製を試みた結果、ほぼ100%の収率で約30μm直径以下のアモルファス粉末を作製できることを確認している。(3)この粉末の熱的安定正と結晶化挙動を調べた結果、単ロール急冷薄帯と同じであり、ナノ完全結晶粒子を利用した超高強度バルクを開発するための基本材料として使用できることが判明した。現在、この粉末を用いて高強度バルク材を作製のための条件を探査している。
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