研究課題
平成8年度において二段ガス噴霧法により作製した、ナノAlあるいはMg粒子分散アモルファス合金粉末を用いたバルク材が、高強度性および高靱性を示すことを明らかにしたので、平成9年度はその要因と熱的安定性を、熱測定および高分解能透過電子顕微鏡観察により、微細組織と相分解挙動との関係において調べた。次いで、バルク材として最高強度を得るための組織因子と強化機構を解明し、各種構造物への実用化の可能性を見極める研究を行った。得られた結果は以下の通りである。1.AlあるいはMgアモルファス地中に分散されたナノグラニュラーfcc-Alあるいはhcp-Mgを有するバルク材の相分解挙動をDSCあるいはTMAにより調べた結果、2つの発熱ピークあるいは熱転移点が観測され、この合金は2つのStageによって平衡相へ相転移することがわかった。すなわち、アモルファス地中では、急冷時から含まれるナノ粒子が加熱によって、アモルファス相から発生するナノ粒子との混合体となり、さらなる加熱により合金全体がナノ粒子に遷移するような挙動を示す。そのためこの合金は、熱的に極めて安定であることがわかった。2.平成7年度から平成9年度までの研究によって、ナノ準結晶とfcc-Alあるいはhcp-Mgの複相を持ち、1000MPaを越える新奇なアルミニウムあるいはマグネシウム基合金の開発に成功したが、これらの合金は強度特性に優れている他に軽量であり、非磁性であるとともに安価な合金であるため、自動車用部品、各種機械構造部品、機械摺動部品、各種ばね材などとして好適であることが明らかになった。
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