Mo-Si,Ti-Si系金属間化合物の高密度衝撃反応合成プロセシング

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07555216
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 相澤 龍彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10134660)
• 研究分担者: 立澤 清彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70013729)
• キーワード: 衝撃反応合成(SRS) / 衝撃誘起反応 / 高速物質混合流動 / 規則化反応 / 固溶体 / 高融点金属アルミナイド / 高融点金属シリサイド

研究概要

衝撃反応合成(SRS:Shock Reactive Synthesis)は、衝撃超高圧を利用した極短時間での科学反応を利用した新物質・新材料創製法であり、特に、セラミックあるいは金属間化合物およびそれらの複合体の創製に有効な手法である。しかし従来の元素混合粉末からの衝撃反応合成では、出発材料にポロシティーをはじめマクロな不均一性を有しており、そのため圧力履歴に伴う温度過渡・残留温度の影響が大となり、本来の衝撃負荷時に生じる化学反応メカニズムが覆われてしまい、ほとんどすべて温度支配型反応になってしまう。研究者は、メカニカル・アロイングなどの手法によりあらかじめ元素間の近接性、微細組織を制御したプリカーサを用いることによって、上述の衝撃支援反応とは明らかに異なる反応メカニズムが存在することを示してきた。本研究では、この方向性をさらに進め、Ni-Al系ならびにMo-Si、Nb-Si、Ti-Si系に関して、メカニカル・アロイングにより微細混合度の異なる試料を作成し、これを一段式火薬銃により衝撃反応合成することにより、回収したバルク試料のXED解析、SEM・EPMAなどによる組織解析を通じて、衝撃誘起反応メカニズムの評価を行った。Ni-Al系では、衝撃波フロントでの高速物質攪拌、混合流動により中間成生物として固溶体形成され、これが臨界圧力以上で規則反応を開始することがわかった。この臨界圧力は、規則化反応のみかけの圧力依存性であり、出発材料中での固溶体量が増加すると、この圧力も増加し、完全な固溶体試料からはトレースレベルしかNi3Alが合成されない。シリサイド系では、状態図からも予測れるように固溶体・アモルファス形成がないため、nmオーダの微細粒子混合から規則化反応が生じるメカニズムが、Mo,Ti,Nb-Si系に共通に観測される。すなわち、MAプリカーサからのシリサイド創製はきわめて低い圧力(ガス銃による圧力レンジ)で行うことができ、工業生産も可能であろうと考えている。

研究成果

• [文献書誌] T.Aizawa,S.Kamenosono,K.Tanaka,and J.Kihara: "Shoke Reactive Mechanism for Direct Synlhesis of Titanium Aluminides from Element Powder Mixture" Metallurgical and Materials Applications of Shock-Wave and High Strain-Rate Phenomena.645-652 (1995)
• [文献書誌] T.Aizawa,S.Kamenosono,K.Tanaka,T.Niwatsukino & J.Kihara: "Geometric Effect on Shock Reactive Synthesis of Titanium Aluminides" Metallurgical and Materials Applications of Shock-Wave and High Strain-Rate Phenomena. 653-660 (1995)
• [文献書誌] T.Aizawa: "Shock Reactive Synthesis of Refractory Metal Aluminides from Pretreated Materials" Adranced Materials '96. 45-50 (1996)
• [文献書誌] N.N.Thadhani and T.Aizawa: "Materials Issues in Shock Compression Induced Chemical Reactions in Porous Solids" Chapter 5.High Pressure Shock-Compression of Solids. IV. (1996)
• [文献書誌] Y.Asakawa,T.Aizawa,Y Shono,K.Fukuoka and J.Kihara: "Shock-Induced Reaction from Mechanically Alloyed Precursor in 3Ni-Al system." American Institute of Physics. 685-688 (1996)
• [文献書誌] T.Aizawa,Y.Kashiwabara,Y.Asakawa K.Fukuoka Y.Shono and J.Kihara: "Shock Induced Reactions of Titanium Aluminides from Mechanically Alloyed Precursor" American Institute of Physics. 705-708 (1996)