本研究では、出発材料として、ミリング型メカニカル・アロイング法(MA)および研究者が別途開発研究した繰り返し鍛造型のバルク・カニカル・アロイング法(BMA)を用いて均一微細混合あるいは合金化した試料を用いて衝撃反応合成を行う方法を提案する。North Carolina State UniversityのHorie教授らのグループでは一段式火薬銃を用いた従来の実験方法をシミュレーションすることで、反応過程の詳細な検討、考察を行っている。Georgia Institute of TechnologyのThadhani教授らのグループでは、一段式ガス銃ならびに爆ごうデトネーションによる実験における未反応・不完全反応した試料を用いて、反応メカニズムを理解しようとしている。この2つの研究では、材料創製プロセシングとして衝撃誘起反応をどのように利用すべきかの指針が得られにくく、また高融点金属アルミナイドおよび遷移金属シリサイドを比較的低い衝撃圧力で、完全反応させるプロセス条件などを推定することは難しい。 ここでは、対象材料として、Ni-Al系およびTi-Al系の高融点金属アルミナイド、Mo-Si系ならびにTi-Si系の遷移金属シリサイドを選択し、MAにより微細構造を制御した出発材料からの衝撃反応合成実験を行い、衝撃誘起反応メカニズムについて考察した。特に、従来の混合粉末成形体からの衝撃反応合成法では、液相の反応メカニズムへの関与が必ずあり、反応メカニズムは衝撃支援反応、すなわち温度過渡、残留温度が大きく現象を支配することを示唆した。本方法の場合には、反応は固相状態で進行するために、非平衡相を凍結することも可能であり、また比較的低い衝撃圧で規則化反応によって、アルミナイド、シリサイドが創製できることがわかった。さらに、衝撃圧を負荷する衝撃装置の見直しも主張し、現在開発中のレーザー駆動およびイオンビーム駆動衝撃負荷装置について言及し、これからの衝撃反応合成プロセシングの動向についてコメントした。
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