研究課題/領域番号 |
07555218
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡辺 健彦 新潟大学, 工学部, 教授 (00210914)
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研究分担者 |
佐藤 昭一 昭和アルミニウム(株), 研究開発部, 主任研究員
小沼 静代 新潟大学, 工学部, 助手 (50018496)
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キーワード | 超音波振動 / 高Mg含有アルミニウム合金 / ろう接 / 接合強さ / Mg介在物 / EPMA,ESCA,AES / 表面偏析 / 加熱速度 |
研究概要 |
超音波振動を付加しながら大気中で純アルミニウムをろう接する実験は既に成功しており、母材破断する継手が得られているので、本研究では、この手法をこれまでろう接が不可能であった約5mass%の高Mgを含有したアルミニウム合金に適用して、その接合の可能性を検討した。ろう材には、これまで通り純亜鉛を使用し、接合温度、超音波振動の振幅、超音波振動の付加時間、接合時の圧力と接合面の粗さを変数として接合部の金属学的評価と接合強さとの関係を調べた。 超音波振動を付加することによって、これまでろう接不可能であった本合金がうまくろう接されることが示された。接合温度が約400℃、振幅が25〜50μm、付加時間が1sec、接合圧力が0.1MPa以上で健全な接合がなされ最高強さ約160MPaのろう接継手が得られた。この強さは母材強さの約50%であり、十分な強さとはいえない。強さが大きくならない原因を探るべく接合部の組織を観察した。その結果、ろう層部には、これまでに観察されたことのない析出物あるいは晶出物と考えられる介在物が多数存在することが認められたため、これをEPMAで分析した。その結果、母材から溶出したと考えられるMgからなる介在物と判明した。引張試験後の破断部を観察すると、亀裂はこのMg介在物部から生じてこの部分を連ねて伝播していることから、Mg介在物の形成が強度低下の要因と判断した。 このMgは母材から来ることは間違いないため、加熱に伴うMgの接合表面への偏析挙動について検討した。EPMAとAESとESCAによってMgの挙動を調べると明らかに表面へ激しく偏析する事が判った。表面偏析量と加熱速度との間には密接な相関があり、加熱速度の上昇によってMgの偏析量が減少することが明らかとなった。
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