研究概要 |
現在のポリマー製造プロセスでは多くのポリマーが溶液,乳化重合により生成されており,製品化のためスチームストリッピング等の方法で脱溶媒が行なわれている.しかしこの方法での消費エネルギーは大で,コスト全体に占める割合は高い.このような分離工程に超臨界流体を適用した場合、その溶解力や拡散速度等の特徴から、上記の問題の解決が期待できる。そこで本研究では,超臨界流体による脱溶媒プロセスの基礎研究として、ポリマー存在下における超臨界流体への溶媒の溶解度の測定を行った。 実験では超臨界流体としてCO2,ポリマーとしてpoly butadiene(PB)、溶媒としてHexaneを用い,種々の濃度のPBHexane溶液を試料とした。所定容量(200ml)のPB溶液を恒温槽中の抽出セルに仕込み,平衡に到達させた後CO2を抽出セルから流出させ、減圧操作で凝縮したHexaneを冷却してトラップし,PB存在下におけるCO2へのHexaneの溶解度を算出した。なお、本測定でのCO2流量は約10rSTPであり、CO2全仕込量の約3%程度であった。溶解度測定終了後,抽出セル中のCO2を全て流出させ,CO2仕込量を測定した。さらに、PB溶液中のCO2濃度が無視できると仮定し、溶解度とCO2仕込量からマスバランスによりポリマー相中のHexane濃度を推算した。 CO2へのHexaneの溶解度は,PB濃度増加とともに減少する傾向がある。またマスバランスより算出した分配比にも同様の傾向が見られた。これはPB-Hexane間の相互作用が強くなり、Hexaneの活量が低下したためであると考えられる。プロセス化のためには、広い組成範囲における溶解度の温度、圧力依存性、また無限希釈状態での分配比のデータが必要であるが、次年度の課題とする。
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