研究課題
本研究は、PETを超臨界水中で加水分解することでPET合成原料モノマーであるテレフタル酸を回収リサイクルする可能性について検討を行った。まず始めに、亜臨界水および超臨界水中でのPETの分解実験を行い、本反応の特性を検討した。その結果、従来行われていたように、アルカリ触媒を添加しなくても、熱水中でPETは加水分解し、テレフタル酸を高収率で回収できることがわかった。しかし、PETの分解速度は、低温では必ずしも速くなく、573K (40MPa)では、90%以上のテレフタル酸回収に90分も要した。それに対し、超臨界水条件下(温度673K、圧力40MPa)では、PETは5分間で完全に加水分解し、反応時間12.5分では純度97%のテレフタル酸が収率91%で回収できた。超臨界状態では、一般に加水分解速度は水密度の増大とともに大きくなる。そこで、超臨界水中での実験で、圧力が反応に与える影響を検討した。その結果、高圧とすることで、PET分解速度が促進されるだけでなく、熱分解の進行による変性残渣や二酸化炭素の生成、すなわちテレフタル酸からの脱炭酸が抑制されることが明らかになった。当初、安息香酸やベンゼン等が副生物として生成すると考えられたが、これらはほとんど検知されず、副生物は熱分解により生成する微量のチャーであった。さらに、本手法のプロセス化に向けて、内部攪拌を行いつつ連続的にスラリーフィードが可能な装置の開発を行い、PETを連続的に供給分解する手法についても検討を行っている。
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