研究概要 |
フロンのオゾン層破壊による地球環境の悪化が懸念されており、代替フロンの開発とともに使用済み廃フロンの分解、無害化の方法の確立が早急の課題となっている。そこでこの研究では、酸化カルシウムを流動粒子として用いた熱プラズマ流動層を利用して廃フロンを分解することを試み、フロンや酸化カルシウム粒子の供給速度と生成ガスの組成や粒子の分析を行い、分解条件の最適化を見つけるとともにこの分解法の確立を目的とするものである。平成7年度はまず流動層の作成を行った。そしてバッチ式の実験を行った。実験は一種類のハロゲンを含む最も簡単な有機ハロゲン化合物である塩化メチル(CH_3Cl)をフロンと想定し、この分解を行った。その結果、生成した塩化水素ガスは酸化カルシウムによって回収されることを確認した。そして流動粒子の反応状態を今年度購入した熱分析装置で分析し、粒子中にはCaCl_2,CaCo_3が存在していることも確認された。そこで流動粒子に主成分がCaCo_3である石炭石を流動粒子に用いた実験を行った結果、やはり生成物の塩素成分は石炭石によって吸収することができた。これに平行して、熱力学平衡計算を行った。ここでは、CaO,CaCo_3,CaCl_2,CaF_2の各固相、およびこれから発生しうる気相を考慮した。その結果、フロンを分解する場合、発生する酸性ガス(HC1,HF)の濃度は、酸化カルシウムを加えない場合、すなわち流動層を用いずに分解した場合よりも大幅に減少する結果が得られ、この分解法の有効性が示唆された。そして現在は、反応装置を、流動粒子が連続供給できるように改良中である。一方、数値計算については、計算を流動層部とその前にある反応部に分けて計算を行うこととし、反応速度定数のデータの収集をほぼ終了し、データの正当性を検討している段階である。また、流動層部の解析については、1相モデルでの解析はほぼ終了し、一応の結果が得られたが仮定を多く含んでいるので、今後得られた実験結果や反応部の解析結果を考慮して、さらに2相モデルへと発展させていく予定である。
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