研究概要 |
管型逆浸透膜の中心軸に丸棒を挿入し,環状の海水流路を形成させた海水淡水化装置を,昨年度と同様,東シナ海(北緯31°54',東経29°04',深さ900m)において海面下600mに懸垂し,電力なしで淡水を取得する実験を行い,淡水透過流量に及ぼす海水流路幅,海水流路長さおよび懸垂時間の影響に関する実験結果を集積した.同時に,海象条件(海面下における深さ方向の温度分布,塩分濃度分布,等)も計測した.また,別途,共試逆浸透膜の淡水透過係数および溶質透過係数と海水の圧力,温度および塩分濃度の関係も測定した. ついで,海水流路内で濃度差によって誘起される自然対流場の速度分布および濃度分布を数値解析し,濃度分極によって局所淡水透過流量が自然対流方向に低下する特性を明らかにした.さらに,装置全体の淡水透過流量に及ぼす懸垂深さ,海水流路幅,海水流路長さ,淡水透過係数および海水物性の影響に関する数値解析結果を得た. 淡水透過流量に関する実験結果と数値解析結果には妥当な一致がみられたこと、透過淡水流量が最大となる最適な流路形状が存在することから,数値解析によって装置の最適設計が可能であることが確認できた. なお,海洋実験は,水産大学校の練習船による学生訓練航海中に実施した.
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