研究概要 |
本年度は、ケミカルループ燃焼法による高効率発電システムの実用化面から、次の研究成果が得られた。 1.循環反応固体粒子の開発 提案システムでは、燃料は還元塔を通過し、空気は酸化塔を通過する。この燃料と空気の流れの独立性によって、CO_2の無エネルギー回収、発電効率の飛躍的向上、NOx発生抑制などの諸効果が得られる。それを可能にしているのは両反応器を循環する固定粒子である。そこで、粒子の反応特性、含炭素燃料を用いた際の炭素析出抑制、還元-酸化繰り返し特性(寿命)について考慮したところ、以前からの候補粒子ではるNiO/YSZに加えて以下の2粒子が極めて有望であることが分かった。(1)NiO/NiAl_2O_4,(2)CoO-NiO/YSZ 2.還元-酸化繰り返し特性 NiO/NiAl_2O_4,CoO-NiO/YSZ粒子について600℃における水素還元と1000℃における空気酸化を行った。その結果10回の繰り返し試験後においても粒子形状、粒子強度、反応速度は保たれ、以前からの候補粒子であるNiO/YSZに比べて極めて良好な結果が得られた。 3.含炭素燃料による炭素析出とその制御 各候補粒子についてCOによる還元を行ったところNiO/YSZ粒子が基も耐炭素析出性に優れていることが分かった。そこでNiO/YSZ粒子について600℃における水蒸気添加の影響について調べた結果、25%の水蒸気添加で炭素析出を完全に抑制できた。従来のスチームリフォーミングなどに比べて圧倒的に低い水蒸気濃度で炭素析出が抑制できた。 4.反応器における粒子群実験 今回、各候補材料について粒子群実験用にペレットを作成し、流通式固定床型反応器を用いて水素あるいはメタンによる還元と空気酸化を行った。反応器の出口ガスの経時変化をGC-Massにより測定し、実用化反応器の設計データが得られた。
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