研究課題/領域番号 |
07555245
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中塩 文行 九州大学, 工学部, 教授 (70037729)
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研究分担者 |
坪井 彦忠 三井サイテック(株)技術研究所, 所長
栫 隆彦 九州大学, 工学部, 助手 (20233679)
後藤 雅宏 九州大学, 工学部, 助教授 (10211921)
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キーワード | 酵素 / 有機溶媒 / リパーゼ / キモトリプシン / 光学分割 / 分離 / 重合 / 分子刷り込み |
研究概要 |
界面活性剤で酵素を被覆するという新しい手法を用いて、有機媒体中で機能する酵素複合体の調製に成功した。調製した界面活性剤-酵素複合体(リパーゼおよびプロテアーゼ)は、通常の粉末酵素に比べて100倍以上の高活性を有して合成反応を触媒した。特に酵素複合体は、極性の低いヘキサン、ベンゼンといった有機溶媒中に完全に可溶化し、効率よく酵素反応が進行した。有機媒体中における酵素反応は、水中でおこる通常の加水分解の逆反応である合成反応を触媒する点が特徴である。さらに、Imprint法(分子刷り込み法)によって酵素特異性の変換を試みた結果、リパーゼ複合体の基質選択性の大幅な増大を達成した。 また、上記酵素複合体を用いて、光学活性な薬剤イブプロフェンの合成を試みた結果、光学活性な(S)一体のみを優先的に生産できることが明かとなった。酵素活性の発現機構を速度解析によって詳細に検討した結果、酵素複合体の不斉認識が、基質を取り込んだ後の反応過程で生じることが示された。 さらに、界面活性剤-リパーゼ複合体がポリエステルの重合反応を効率よく触媒することが示され、本酵素反応系が、高分子の合成反応の触媒として利用できることが明かとなった。界面活性剤で修飾された酵素複合体は、化学品製造の新しいプロセスの構築を可能にし、今後のいろいろな分野での応用が考えられる。
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