研究概要 |
モルデナイト型チタノシリケートの合成法を確立するため、まず合成モルデナイトの脱アルミニウム法について検討した。硝酸での加熱還流及び600〜700℃での空気焼成を組み合わせることにより、結晶構造を破壊することなく、骨格からの脱アルミニウムを行った。骨格のSi/Al比は最大325となった。このように調製した脱アルミニウムモルデナイトを四塩化チタン蒸気と反応させるAtom-Planting法によりチタノシリケートを調製した。その際骨格へのチタンの組み込みに最適な条件は、脱アルミニウムモルデナイトのSi/Al比約120,Atom-Planting処理温度600℃であり、四塩化チタン分圧は11kPa、処理時間1時間で組み込まれるチタン量が飽和することを明らかにした。 導入したチタンのキャラクタリゼーションを以下のように行い、モルデナイト骨格へのチタン原子の組み込みメカニズムを明らかにした。すなわちIRスペクトルのOHバンドおよび^<29>Si MAS NMRスペクトルから、四塩化チタンがモルデナイトの格子欠陥のOHと反応して導入されることを示した。また、UVスペクトルにおいて220nmに吸収を示すことからチタンが酸化物粒子ではなく、分散した4配位種であることがわかった。この4配位チタン種をIRスペクトルの960cm^<-1>の吸収バンドにより定量することに成功した。C^<18>O_2とチタノシリケート格子中のO^<2->との酸素交換反応を速度論的に解析した結果,500℃以上の処理温度で組み込まれたチタン種がモルデナイトの4個の格子酸素と結合していることが定量的に証明された。
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