高酸化能を持つ光触媒による微量有害有機物質の酸化除去

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07555249
• 研究機関: 長岡技術科学大学
• 研究代表者: 井上 泰宣 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30016133)
• キーワード: 光触媒 / チタン酸塩 / 酸化ルテニウム

研究概要

本年度の研究では,長方形型M_2Ti_6O_<13>(M=Na,K,Rb)およびペンタゴナルプリズム型トンネル構造のBaTi_4O_9、さらに比較として層状構造を持つNa_2Ti_3O_7のチタン酸塩にRuO_2を異なる方法で担持した光触媒の水の分解反応に対する活性を調べた。長方形型トンネル構造をもつM_2Ti_6O_<13>(M=Na,K,Rb)の光触媒活性は、Rb<K<Naの順に増加した。酸素存在下77KでM_2Ti_6O_<13>を光照射した場合にg値としてg=2.020,g=2.018,およびg=2.004をもつO^-に帰属されるESRシグナルが生じた。このESRのシグナルが増加すると共に、光触媒活性も増加し、光励起電荷分離能が光触媒活性と関連することを見出した。BaTi_4O_9を光照射した場合にも類似のシグナルが出現し、BaTi_4O_9においても光励起電荷発生能と光触媒活性が密接に関連する結果が得られた。トンネル構造における光触媒作用の発現においてTiO_6八面体においてTiイオンが周囲の6ケの酸素イオンの重心の位置よりずれた歪み構造を持ち、光照射時にTi-Oの結合切断と再結合のダイナミックな変化が起こるモデルを示した。Ru塩化物に比べRu錯体を用いるRuO_2担持によってトンネル構造チタン酸塩の光触媒作用が増加し、また従来光触媒作用に劣る層状構造Na_2Ti_3O_7についても良好な光触媒作用の発現が見られた。Ru錯体を用いる場合の高活性化が5nm以下の超微粒子RuO_2の生成に基づくことを明らかにし、トンネル空間の凹凸がRuO_2の高分散化をもたらし、酸化反応に対して有効となることを示した。

研究成果

• [文献書誌] M.Kohno, S.Ogura, K.Sato, Y.Inoue: "Effect of tunnel structure of Bati_4O_9 and Na_2Ti_6O_<13> on photocatalytic activity and photoexcited charge separation" Studies in Surface Science and Catalysis. 101A. 143-152 (1996)
• [文献書誌] M.Kohno, S.Ogura, K.Sato, Y.Inoue: "Properties of photocatalysts with tunnel structures : formation of a sinface lattice O^- radial by the UV irradiation of BaTi_4O_9" Chem.Phys.dett.267. 72-76 (1997)
• [文献書誌] M.Kohno, S.Ogura, K.Sato, Y.Inoue: "Reduction and oxidation of BaTi_4O_9 with a pentagonal prism tunnel structure. Effects on radical formation upon UV irradiation" J.Chem.Soc., Faraday Trans.93(14). 2433-2437 (1997)
• [文献書誌] S.Ogura, M.Kohno, K.Sato, Y.Inoue: "Photocatalytic activity for water decomposition of RuO_2 combined M_2Ti_6O_<13>(M=Na,K,Rb,C_s)" Appl.Surf.Sci.121/122. 521-524 (1997)
• [文献書誌] M.Kohno, T.Kaneko, S.Ogura, K.Sato, Y.Inoue: "Dispersion of ruthenium oxide on barium titanates (Ba_6Ti_<17>O_<40>,Ba_4Ti_<13>O_<30>,BaTi_4O_9,Ba_2Ti_4O_<20>) and photocatalytic activity" J.Chem.Soc.,Faraday Trans.94(1). 89-94 (1998)