研究課題
基盤研究(A)
まず、石炭中に含まれている含窒素化合物の形態分析をX線光電子分光法(XPS)により定性、定量を行った。また、試料炭のキュリーポイント熱分解実験(不活性雰囲気下、500-1100℃)、燃焼実験(酸素気流下、1500℃)を行い、生成する含窒素ガスを定量した。これらのデータの検討を行った結果、XPSによる各化合物の分布および熱分解実験の結果を基にすると、燃焼時のNOx生成量を予測可能であることをしめした。次に石炭燃焼やディーゼル排気中のすすとNOの同時除去との関連から、炭素とNOの反応についての検討を行った。同位体標識を用いた過渡応答法により、反応機構に関する検討を行い、反応速度は炭素中に取り込まれた含窒素化合物の量および気相NO濃度の一次に比例することがわかった。この結果ならびに過渡応答実験の結果から、炭素表面の含窒素化合物と気相のNOが反応してN_2が生成することを明らかにした。流動層燃焼時のNOx・N_2Oの発生量を抑制するためには、乾留後のチャー中の窒素をいかに効率よく無害なN_2に転換できるかが重要と思われる。そこで、4種類の亜歴青炭や歴青炭を850℃でチャー化した試料を用いて、20%O_2気流中700〜850℃で流動層燃焼を行った。その結果、炭種に依らず、供給したO_2のほぼ全てが消費され、多量のCOが発生した。このような燃料過剰の条件下では、いすれの温度においてもNOxやN_2Oは全く検出されず、微量のNH_3やHCNが発生するだけであり、含窒素ガスの約99%はN_2であった。反応初期においては、N_2の生成速度は炭素のガス化速度とほぼ等しかったが、後半では、炭素の反応が優先し、その結果、窒素が残存チャー中に濃縮されることが明らかとなった。
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