研究概要 |
本研究では,植物培養細胞を対象として,細胞のストレス耐性およびリアクター中の流体シアストレス強度の評価法を検討する。本年度は以下の検討を行った。 1)リアクターおよび粘度計型ストレス負荷装置の設計と試作 実験に用いるリアクターおよび粘度計型培養装置を試作した。粘度計型培養装置は同軸二重円筒回転型粘度計を利用して内筒固定,外筒回転のクエット型の装置を試作した。リアクターとしては,購入したファーメンター利用および小型の撹拌槽を試作した。 2)シアストレス下での植物細胞の活性低下挙動の測定 植物細胞として,イチゴおよびユ-カリの培養細胞を用いた。活性(生存率)評価には,エバンスブルー染色法およびTTC染色法を用いて比較検討した。各種条件で培養した細胞をシア負荷装置に入れ,約2時間の間の活性の低下速度を測定した。この低下速度を各種の回転数の下で実測すると,シアストレスがある価を超えたところで生存率が急激に低下する挙動が観察された。そこで,これを臨界剪断応力と定義し,細胞のストレス耐性評価の指標とした。この臨界剪断応力は,細胞の種類,培養のフェーズ,生存率の測定方法などに依存して変化したが,再現性のある価が得られたため,評価基準としての利用が可能であることが示された。 3)リアクター中での細胞活性の低下挙動 イチゴ,ニチニチソウなどの植物細胞を用い,撹拌槽中での生存率の低下を測定した。撹拌翼の形状による相違を,アグリゲートサイズの変化との関係を含めて検討中である。 4)疑似細胞による粘度計型培養装置とリアクターにおける流体シアストレスの相関 PVA溶液によって凝集させたアルミナシリカ粒子を疑似細胞敏,その崩壊過程によって,粘度計型培養槽とリアクター中の流体シアストレス強度の相関を取るべく検討中である。
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