研究課題/領域番号 |
07555256
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯島 信司 名古屋大学, 工学部, 教授 (00168056)
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研究分担者 |
西島 謙一 名古屋大学, 工学部, 助手 (10262891)
上平 正道 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40202022)
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キーワード | runaway-plasmid / episome / mammalian cells / genetic engineering / erythropoietin |
研究概要 |
動物細胞を宿主とする遺伝子工学、特にヒトの細胞を用いる遺伝子工学はバイオ医薬品の生産にきわめて重要である。しかし、基礎となる動物細胞における遺伝子の複製や発現に関する研究が遅れていることもあり、あまり進歩しているとは言い難い。 申請者らは動物細胞の遺伝子工学で、微生物で常時用いられるマルチコピープラスミッドが開発されていないことがこのような生産性の低さの原因のひとつであると考えている。そこで申請者らは動物細胞で、温度により細胞あたりの遺伝子の数が変わり、ある温度で遺伝子の数が爆発的に増大し遺伝子産物が過剰に生産されるような便利なベクターを、DNAガンウイルスの一種であるサルSV40ウイルスを用いて開発した。 本年度の研究により、SV40に基づく本ベクターが従来用いてきたサルCV-1細胞以外に、サルBSC-1、ヒトHela細胞でもたいへんよく機能し、培養温度を下げることにより遺伝子数を爆発的に増やすことができ、かつエリスロポイエチンの過剰生産も可能であることが判明した。一方、ヒトKB細胞では遺伝子数は温度により変化するものの、エリスロポイエチンの生産は温度に依存せず逆に37℃の方が高かった。さらに動物細胞の遺伝子工学の宿主として良く用いられるCHO細胞でもこのベクターは機能したが、エリスロポイエチンの生産は低くCV-1を宿主とした時の1/(10)程度であった。またHL60,RPMIなどのヒト血球由来の細胞では、遺伝子の増巾は見られなかった。 一方、スピナ-フラスコによる培養を行い、本宿主ベクター系がマイクロキャリアを用いた大量培養を想定した培養でもうまく働くことを実証した。
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