研究課題/領域番号 |
07555265
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
工業分析化学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
早下 隆士 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70183564)
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研究分担者 |
大賀 智也 新日本製鐵(株), 主任研究員
宮島 徹 九州大学, 理学部, 助教授 (40128103)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 鉛(II)イオン / 高度分離 / 機能性樹脂 / 抽出 / イオン認識 / 分離材料 |
研究概要 |
本試験研究では、九州大学(宮島グループ)および新日本製鐵(大賀グループ)と共同で、様々な構造のポリエーテル型ジカルボン酸化合物を合成し、その認識部位の分子構造と鉛(II)イオンの相互作用の相関を明らかにすることで、高性能な鉛(II)イオン分離用キレート樹脂の開発を行うことを目的としている。種々のスペーサー構造を持つジカルボン酸化合物を合成し、その重金属イオンに対する錯形成能を電位差滴定法、NMR法、溶媒抽出法などの方法で評価した。その結果、ポリエーテル型ジカルボン酸認識サイトのスペーサーにエチレン鎖を、ジカルボン酸部位にフェノキシ酢酸を導入した化合物が、銅(II)イオンに対する鉛(II)イオン選択性で800倍という脅威的な値が得られることを見いだした。スペーサーによりリジッドなベンゼン骨格を導入したトリベンゾ型ジカルボン酸化合物を合成した結果、分子内のカルボキシル基簡の行こうな配位構造が阻害され、鉛(II)選択性が著しく減少することがわかった。次にこれらの化合物の疎水性化を目的として、カルボキシル基のα位にヘキシル基からヘキサデシル基までのアルキル鎖を導入した結果、オクチル基を有する化合物が最適コンフォメーションを取り、鉛(II)イオンに対して最も優れた溶媒抽出機能を有することを見いだした。またポリエーテル型ジカルボン酸モノマーを出発原料として、ホルマリン縮重合法によりモノマーの高分子(樹脂)化を行った。この樹脂もモノマー同様に高い鉛(II)選択性を示すが、IVA属元素の中でなまりより錫(II)により高い吸着能を示すことから、ブリキメッキ液中の微量鉛(II)の除去が困難であることが判明した。一方、他の遷移金属の吸着生は極めて低く、鉛(II)、錫(II)に対して極めて有効な吸着剤となることがわかった。また、得られた樹脂は、環境汚染で問題となっているアルキル錫に対しても優れた吸着性能を有することを見いだした。これらの成果は、樹脂のドナン平衡を用いた吸着理論や鉛(II)イオン分離機能を有する機能膜の結果と併せて、13編の論文と2編の著書にまとめている。
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