研究課題/領域番号 |
07555268
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鯉沼 秀臣 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70011187)
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研究分担者 |
妹尾 武彦 (株)プラズマシステム, 開発部・研究第1課, 研究員
佐藤 浩太 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (40192091)
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キーワード | 大気圧低温プラズマ / 誘電体 / ポーラスアルミナ / 陽極酸化 / プラズマプロセス / 表面処理 |
研究概要 |
平成8年度までの研究実績をまとめると以下の通りである。 1.大気圧低温プラズマ発生装置と大面積化 ポーラスアルミナを誘電体とする大気圧低温プラズマ発生装置の大面積化を行った。これまでの研究から、(1)大気圧低温プラズマの発生においては、電極間に誘電体を挿入すること、(2)高効率に大気圧プラズマを発生するには、比誘電率が高い誘電体を用いる、という知見を得てきた。これらの知見を基に、直径3cmの円盤のアルミ表面を陽極酸化してポーラスアルミナ化することにより、従来の装置の約50倍以上もの面積での大気圧プラズマの発生を可能にした。この大面積大気圧プラズマのガス温度は80℃程度で、従来のビーム状大気圧プラズマより200℃以上低い。大気圧下での微細加工や広範囲な表面処理だけでなく、有機高分子材料の処理なども可能である。原理的には更なる大面積化も容易に実現でき、工業プロセスへの適用が十分に期待できる。 2.大気圧低温プラズマの各種プラズマプロセスへの応用 (1)表面処理 大気圧低温プラズマにさらすことで、タイヤ等に用いられている加硫ゴムの表面処理を行った。アルゴンに酸素ガスを添加した大気圧プラズマで表面改質を行った。接着による引っ張り強さ試験では未処理のゴムと比較して、処理したものは2倍以上の強度を示した。 (2)薄膜堆積 原料に(Ti(O-C_2H_5)_4)を用い、反応ガスにH_2を添加した大気圧低温プラズマで高誘電率を有するTiO_2薄膜の合成を行った。大気圧下で透明なTiO_2膜が高速(1μm/min)に堆積された。基板温度300℃以上で堆積された膜はX線回折ではアモルファスであるが、ラマン分光測定では微結晶相の存在を確認した。水素添加によりTiO_2膜はアナターゼ系からルチル系に構造変化した。ルチル系の膜は高耐電圧(1MV/cm at J=10^<-6>A/cm^2)と高い誘電率(ε=54)を持つ膜であった。
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