研究分担者 |
原 範明 田中貴金属工業(株), 技術開発センター, 研究員
鶴見 和則 田中貴金属工業(株), 技術開発センター, プロジェクトリーダー
五十嵐 寛 山梨大学, 工学部, 助手 (40242044)
内田 裕之 山梨大学, 工学部, 助教授 (20127434)
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研究概要 |
リン酸型燃料電池の実用化の最大の課題は、電極触媒層のリン酸電解液の濡れによる特性低下を抑制し、今以上の長寿命化を実現することにある。本研究は、触媒層のガスネットワーク材料として、カーボンブラック(CB)の全表面に、10nm厚のポリエチレン(PE)を被覆したPE/CBを作り、これを直接フッ素化してTeflon(PTFE)と同様の分子構造、強撥水性を有するフッ素化ポリエチレン被覆カーボンブラック(FPE/CB)を新規に作成し、これをやはり新規提案の「機能分離型電極触媒層」に適用した電極が、従来型の電極に比較し寿命特性に於いて優れることを実証することを目的としている。本年度に以下の成果を得た。 1,PE/CBのフッ素化反応条件を決定のため、水晶振動子マイクロバランス(QCM)上で、PEのフッ素化反応速度を解析し、以下に示すFPE/CBの製造条件の決定に必要な速度論データを測定した(研究発表成果1)。 2,ロータリーキルン型反応装置を設計、製作し、前項で測定した速度論データを基に、実際のFPE/CB製造の最適条件を決定した。 3,前項で製作したFPE/CBの物理的、化学的性質、すなわち被覆状態(比表面積、SEM)、凝集状態(粒度分布)、細孔構造(細孔分布)、熱安定性(TG/DTA)、化合状態(XPS)、撥水性(接触角、電解液細孔占有率)等を評価し、期待通りの物性を有する新撥水性材料が製造できることを明らかにした(研究発表成果2、3)。 4,このFPE/CBを触媒担持カーボンブラック(CBPt)と共に用いて、前記の機能分離型触媒層を形成し、混合比、製造条件の最適化を行った。その結果、触媒利用率、ガス拡散性共に理論的に最も優れた電極を作成できた(研究発表成果2、3)。 5,次年度以降、加速条件下で寿命評価する方法について検討し、ほぼその方法を確立した(研究発表成果4、5)。
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