研究課題/領域番号 |
07555270
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
工業物理化学
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山本 治 三重大学, 工学部, 教授 (70023116)
|
研究分担者 |
近藤 繁雄 松下電池工業, 技術研究所, 主幹技師
今西 誠之 三重大学, 機器分析センター, 助教授 (20223331)
武田 保雄 三重大学, 工学部, 助教授 (60093051)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
キーワード | 固体電解質電池 / リチウムイオン伝導体 / 固体リチウム二次電池 / リチウムカルコゲン化ガラス / テープキャスティング法 / 薄膜電池 |
研究概要 |
本研究は、民生用に広範囲で利用可能な固体電解質電池、とくに全固体リチウム二次電池を開発しようとするものである。この種の電池は、昔からその実現が望まれていたが実用に供するものは開発されていなかった。その大きな理由は、十分に高い導電性を有するリチウム固体電解質が発見されていなかった事による。しかし、数年前、松下電池の近藤グループで開発されたリチウムカルコゲン化ガラスLi_2S-SiS_2-Li_3PO_4は、室温で10_<-3>S/cmオーダーの高い導電率を示し、この全固体リチウム二次電池の電解質に十分使用できるものであった。そこで、申請者等によって提案された電解質-電極材複合電極を電極に用い、この電解質と組み合わせたリチウム固体電池を開発しようとしたのであった。 まず、バルク試料でLi/Li_2S-SiS_2-Li_3PO_4/LiCoO_2の様な電池を組みその特性研究をおこなった。負極の可逆性はリチウム極にIn合金を使い、電解質と陽極をうまく混合することで、溶液電解質に勝る特性を得ることが出来た。つまり、電流密度(1mA/cm^2以上)、サイクル特性(100サイクル以上、100%)、安定性(この電解質の分解電圧は5V以上、充電反応以外複反応がない)、過充電に対する安全性(3.7Vの定電圧保持すると、充電末期で電流値は10^<-8>A/cm^2以下となり残余電流はほとんど流れない)など、どれをとっても非水溶液電池より有利と思われた。無機固体電解質が数々の優れた特性を有するにもかかわらず、シート状に加工することが困難であった。我々は昭和62年11月松下電器産業、日本合成ゴムの共同研究によって開発された高分子バイダーを用いたテープキャスティング法を用いて電解質および電極を薄膜化を検討した。このような複合化によって、室温で10^<-4>S/cmのイオン導電率が確保された。実際厚さ数十ミクロンで、大表面積を有する電解質シート、電極シートが作成できた。これは安全かつ高信頼性のリチウム二次電池実現の可能性を大いに期待させるものである。
|