粘土のケイ酸塩層間を架橋して得られる粘土層間架橋多孔体の出現は、それまで、ゼオライトだけに限られていたミクロポア多孔体の種類を大幅に拡大することに成功した。本研究では、層間架橋の手法を層状チタン酸塩に適用し、半導性ミクロポア多孔体を合成し、その特性を生かした機能性材料の応用開発を行う. 1.シリカ架橋層伏チタン酸塩の合成と吸着特性 Rb_<0.75>Mn_<0.75>Ti_<1.25>O_4のRbイオンをアルキルアンモニウムイオンで交換し、チタン酸塩層間を拡げてから、テトラエトキシシラン(TEOS)を層間で加水分解し、その後、熱分解を行うことによってシリカ架橋多孔体を合成した.吸着侍性の詳細な解析を行い、多孔体の細孔は疎水性を有し、ゼオライトに類似した均一なミクロポアからなることを明らかにした.窒素吸着曲線はミクロポア多孔体に特有のLangmuir型であり、多孔体は600℃の高温まで、500m^2/g以上の高比表面積を保持する. 2.層状チタン酸塩層間層間架橋体の精密細孔制御. 酸化によりイオン交換容量を調整した層状チタン酸塩を用いることにより、細孔径が制御できることを明らかにした。しかし、交換容量が減少すると、予想とは逆に、細孔径は増大する傾向にあり、これはシリカ架橋の生成機構と関連すると思われる。 3.半導体ミクロポーラスクリスタルの触媒への応用 架橋多孔体にイオン交換性を回復することに成功し、銅イオンを担持した半導性ミクロポア多孔体を合成した。この多孔体はCOの酸素酸化反応に活性が高いことを見出した。銅を担持していないシリカ架橋多孔体においては、触媒活性を示す温度は100℃近く高く、シリカ架橋していないチタン酸塩は全く触媒活性を示さなかった。
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