本研究は生理活性が期待される複素環化合物の電解部分フッ素化の安全かつ高効率的な実用プロセスを開拓することを主な目的として行ったものであり、一部を除き所期の目的をほぼ達成することができた。 1)フッ化物イオンの合成とその電気化学的性質の解明 支持塩兼フッ素源であるフッ化物塩は電解フッ素化の最も大きな支配因子であるから種々のフッ化物塩を新たに合成し、これらの電気化学的性質(電位窓や電導度など)の解明を行い、複素環化合物の電解フッ素化に適した支持塩を見い出した。 2)含硫黄複素環化合物の電解モノフッ素化 ユニークな生理活性が期待できる含硫黄縮合複素環化合物の部分フッ素化について検討し、フッ素系支持塩とフッ素化効率、選択性との関係を明らかにすることによりこの種の化合物の選択的部分フッ素化法を確立した。 3)含窒素複素環化合物の直接的電解モノフッ素化 オキソインドールなどの生理活性含窒素複素環化合物を対象とし、電解モノフッ素化の最適電解条件を調べ、実用化のための指針を得た。 4)4-フェニルチオ-β-ラクタム類の間接的脱硫モノフッ素化 トリアリールアミンをメディエーターとするβ-ラクタムの間接的電解脱硫モノフッ素化を達成した。
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