研究概要 |
本研究では特異構造化合物の反応性を解明し合成的変換法を確立していくとともに生理活性分子設計に応用することによってユニークな新規合成ブロックとしての開発と実用化の研究を押し進めることを目的としている。本年度の研究実施計画に沿って以下の各項目別に検討した。 (1)ヘテロ多環系特に含窒素骨格誘導体合成法の開拓と生物活性の探索:研究代表者らの開発した4-アザホモアダマント-4-エン系はユニークな三次元立体構造の架橋イミンである。このイミンの新規ヘテロ環系合成への応用として、CN基との反応によるオキサジアゾリン誘導体合成法を見出した。またピラジニルイミノホスホランを合成しこのaza-Witting反応により新規プテリジンおよびピラジノ-1,4-ジアゼピノン合成法を開発した。 (2)C60,C70フラーレンの付加反応性の解明とそれらのヘテロ多環誘導体合成法の開発および諸性質の解明:ヘテロDiels-Alder反応や複素環のo-キシリレン型ジエンの[2+4]環化付加反応,新規酸化的[2+3]環化付加反応により複素環縮合または連結型C60誘導体の合成ルートを開発した。 (3)スクアリン酸誘導体の合成と環変換反応による骨格合成反応の開発と生理活性分子合成への応用:研究代表者らの見出したスクアリン酸誘導体への不飽和シラン類の親電子付加反応により得られる付加体の熱及び光,ラジカル種等によるシクロブテン環のひずみ解放を活用する開環と再閉環による環変換を検討して種々の置換基をもつフラノンやビシクロ[3.2.0]ヘプタノン誘導体の合成並びにテトロン酸誘導体multicolanateなどの生理活性天然物合成への応用に成功した。 (4)入手容易な含フッ素ハロ炭化水素やパ-フルオロアルキル誘導体を活用した新規含フッ素合成中間体の開発とその生理活性分子設計への応用:4-ホモアダマンタノンより容易に合成できる5-トリフルオロアセチル体の6〜7員環含窒素複素環への合成ルートを開発した。またトリフルオロフェニルスルフォニルプロペンへのニトロンの位置および立体選択的環化付加反応を活用してトリフルオロメチル-syn-3-アミノアルコールの合成に成功した。
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