環付加反応は、炭素骨格構築法として有機合成化学の重要な位置を示している。オキサトリメチレンメタン種は3炭素ユニットとして合成化学的に利用されており、オレフィンやジエンと[3+2]および[3+4]環化付加してそれぞれ対応する5員環、7員環ケトン類は与えることが知られている。われわれも、新しいオキサトリメチレンメタン-パラジウム錯体の発生法を開発し、触媒反応に応用している。 これに対して、アザトリメチレンメタンに関する報告はほとんどなく、その合成化学的利用もほとんどなされていなかった。われわれは、オキサトリメチレンメタン-パラジウム錯体発生法を利用してアザトリメチレンメタン-パラジウム錯体の反応性を調べた。その結果、パラジウム触媒存在下、環状カ-バメートをノルボルネンと反応させると窒素上の置換基の種類のよって生成物が異なることを見い出した。フェニル基の場合、[3+2]環化付加反応が進行し、シクロペンタノン誘導体が主生成物であった。これに対して、トシル基の場合、3員環生成物が得られた。^1NMRを用いた詳細な研究より、アザトリメチレンメタン-パラジウムおよび白金錯体の構造特性を明かにすることができた。また、得られた知見から触媒反応の機構の一部も明かにすることができた。
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