シクロデキストリンと種々の種々のポリマーとの包接錯体を調製した。α-シクロデキストリンとポリエチレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリオキシトリメチレン、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリエチレンアジペ-ト、ポリブチレンアヂペ-トやβ-シクロデキストリンとポリプロピレン、ポリピレングリコール、γ-シクロデキストリンとポリメチルビニルエーテル、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレンとの錯体を合成した。シクロデキストリンの水溶液中にポリマーを加え、加温しながら超音波を照射する事により錯体を調製した。この錯体の構造を粉末X-線や固体の核磁気共鳴スペクトルにより検討した。その結果、シクロデキストリンとこれらのポリマーとの錯体は化学量論的であり結晶性でシクロデキストリンが円筒状のカラムを形成し、シクロデキストリンが形成するトンネルの中にこれらのポリマーが取り込まれていることがわかった。シクロデキストリンとヘキサエチレングリコールとの包接錯体の単結晶のX線構造解析を行った。シクロデキストリンは結晶中でトンネルを形成し、そのトンネルの中にエチレングリコール鎖が取り込まれている事が明らかになった。またカチオン性のポリマーであるビオローゲン型のポリマーとシクロデキストリンとの包接錯体形成について検討した。核磁気共鳴スペクトルによりビオローゲン型のポリマーはシクロデキストリンと水溶液中で包接錯体を形成することがわかった。α-シクロデキストリンはビオローゲンポリマーを取り込むのに数日かかるのに対して、β-シクロデキストリンは同じポリマーを瞬間的に取り込むことがわかった。γ-シクロデキストリンでは相互作用は見られない。このようにシクロデキストリンは種々のポリマーを選択的に取り込み、特徴な包接錯体を形成することが明らかになった。
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