研究課題/領域番号 |
07555299
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
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研究分担者 |
村松 宏 セイコー電子工業(株), 技術本部基礎技術研究所
吉水 広明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10240350)
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135407)
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キーワード | 水晶振動子 / 気体透過性 / 粘弾性 / 分子運動 / 超臨界流体 / 共振周波数 / 共振抵抗 / ガラス転移 |
研究概要 |
本研究では高分子薄膜の気体収着・拡散等の透過性能を水晶振動子を活用して評価すると同時に、気体が収着・拡散している状況下における粘弾性のその場観察を行うことで、従来あまり顧みられなかった高分子の分子運動の側面からの膜物性の理解を得、膜性能を十分理解することを研究目的とする。昨年までに、ゴム状高分子であるポリジメチルシロキサン(PDMS)膜を対象に、比較的高圧までCO_2の収着・透過実験を行い、超臨界流体(CO_2)-高分子系の相互作用の特徴を検討した。その結果、バルクのCO_2の状態が気体から超臨界状態へと変化するとPDMS膜への溶解性や膜中におけるCO_2の存在状態にも変化が生じることが示唆された。即ち、一般に液体状態で存在していると考えられている膜中のCO_2は、臨界温度・圧力以上になると液体状態より粘性が小さい状態に変化し拡散性が増すと考えられた。本年度は高分子薄膜の粘弾性評価方法の確立を目指し、ネットワークアナライザによる水晶振動子の共振パラメータ(共振周波数並びに共振抵抗)の精密測定システムの構築と、得られるパラメータと粘弾性との相関について検討を行った。種々の高分子について共振パラメータの温度依存性を測定したところ、以下のような結果が得られた。ガラス状態では共振抵抗、共振周波数ともに一定値を示すが、ガラス転移温度以上になると、共振抵抗は温度上昇とともに急激に増加した後減少へと転じた。共振周波数も同様に一旦緩やかに増加するが、共振抵抗の場合よりは低い温度で減少し始めた。これらの結果より、ポリマーの一般的な温度変化に対する共振パラメータの挙動がわかった。また、水晶振動子を用いることにより薄膜の粘弾性変化がガラス状態から流動領域まで広範囲にわたって測定可能であることがわかった。
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