研究概要 |
本年度の研究においては,前年度までの研究を引き継ぎドッキング・バーシング・シミュレータのハードウエアの試作/改良を行った。具体的には,水平方向の駆動について,空気推力を用いる方法を検討し,その設計,試作を行った.それは,小型圧縮ボンベを用いて,自力浮上,推力噴射を可能にし,またコンピュータ間の無線通信により制御される方式である.この装置の基本性能を取得した.また,垂直方向の駆動に関しても,空気シリンダ内の摩擦を取り除くためにエア-シールド型空気シリンダを採用し,更に,応答時間を早めるために超高速電磁弁を採用した完全空圧重力補償法を検討し,極めて良好な結果を得た. 一方,理論面としては,ドッキング衝撃時の応力を解析的に見積もるための,衝撃波動解析シミュレーションプログラムを作成した.具体的には,リンク間の各種ジョイント機構における応力波動伝播をモデル化した多体リンク機構における衝撃応力解析アルゴリズムを考案し,コーティングを行い,様々な衝撃を伴う多体動力学シミュレーションを行った.また,開ループツリー構造の柔軟リンクを含む多体システムに汎用的に適用可能で,簡便なユーザーインターフェースを持つソフトウェアを,MATLABを使用して開発した.3次元グラフィクスの表示にはフリーウェアソフトXanimateを使用した.開発したソフトウェアを用いて,技術試験衛星ETS-VIIの軌道上マニピュレーションおよび姿勢ダイナミクスについて詳細な検討を行った.
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