研究概要 |
火力発電所より発生した石炭灰に対して,浮選による未燃炭素分の除去,磁選による鉄分の除去を行った後,水熱合成によるカオリナイト等のアルミノ珪酸塩を生成する研究を行った。 1)浮選による未燃炭素分の除去:未燃炭素分が疎水性であることを利用して,これを浮選除去する試みを行った。石炭灰の未燃炭素分は酸化により疎水性が弱いためケロシンを架橋液体とした。浮選成績はパルプのpHと石炭灰の粉砕に大きく影響を受けることを見いだした。この原因は無機成分の割合が炭素分に比べて圧倒的に多い石炭灰パルプでは無機成分による油の消費の影響が大きいためであると考察した。浮選により未燃炭素分は約3%から0.5%以下に低下した。 2)磁選による鉄分の除去:磁選により鉄分は約4%から0.2%に低下した。また,石炭灰中の鉄分の分布を調べ,炭素分と鉄分が一体化した粒子が多く含まれていることを見いだした。そこで浮選に先立って磁選を行うことにより,より少ないケロシン添加で浮選成績の向上を得た。 3)精製石炭灰からのカオリナイト合成:水熱合成に先だって石炭灰中の石英をアルカリで分解することによりカオリナイトの合成に成功した。生成物は結晶性が低く,微粒で,比表面積が大きいことから製紙コーティングやセラミクス等への実用面からの要請を満たすものと考えられる。ただし,白色度の低いことが問題として残った。
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