ウォータージェットは細い噴流であるが、単位面積当たりの加工エネルギーが極めて大きいことから、固体材料の加工などへの応用研究が活発である。様々な基礎・応用研究の進展に伴い材料の切削機構も次第に明らかになりつつあるが、定量的には未解明な点が多く残されている。 ウォータージェット技術をより高度なものにするためには、ウォータージェットやアブレシブジェットの衝突による固体の衝撃的破壊のメカニズムの解明が基本的に重要であり、固体表面に実際に入射する噴流の構造の定量化が緊急の課題となっている。 今年度は、本研究の最終年度にあたり、入射噴流の巨視的な分析法として衝突力測定法を用い、その高速水噴流への適用性について検討した。得られた結果を要約すると以下のようである。 1)円筒連続水噴流を平滑なターゲットの表面に垂直に衝突させた場合の衝突力を分析し、その時間平均から運動量の法則に従って入射速度を算出すれば、噴流速度に対する飛翔距離の影響および空中衝撃波発生の影響などの検出が可能となる。 2)被衝突物質の壊食に伴う衝突力の変化を実験と解析によって分析し、表面が窪むと時間平均衝突力は一旦増加するが、中央部に壊食孔が生じる。 3)壊食孔の深さが増すと衝突力は入射噴流と壊食孔の断面積比に依存する。 4)衝突力の精密測定は噴流を構成する水の平均速度の評価だけでなく、噴流の見かけ密度の推定にも応用できる。
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