研究概要 |
本研究においては,これまでの研究成果をもとに,界面電気現象を利用して高均質な超砥粒工具を開発することが目的である.本研究では単層の工具の開発に対しては界面静電現象である電気植粉現象を応用し,また多層の工具の開発に対しては界面動電現象である電気泳動現象を適用することで,いずれも砥粒位置が均一に分散された超砥粒工具を開発することを目指している. 平成7年度は「電気泳動現象を利用した超砥粒ホイールの開発」について研究を行った.すなわち,(1)種々の界面活性剤を用いダイヤモンド砥粒を水溶液中に分散させ,電気泳動現象による砥粒の凝集状態を調査した.(2)一時的な保持のための接着剤となる種々の高分子電解質とダイヤモンド砥粒を混合し,この混合液に電場を作用し,電気泳動現象による砥粒の凝集状態を調査した.(3)(2)で開発した砥石を用いて研削実験を行い,その研削特性について明確にした. その結果,(1)粒径が0.1μm以下のダイヤモンド砥粒を使用すると,結合剤が緻密に付着するために,1mm程度しか付着層が成長しないが,μmオーダのダイヤモンド砥粒を利用すると,粒子間の空間で電気浸透現象が生じるため,10mm程度以上の付着層を成長させることが可能となることが判明した.また,このようにして製作した砥石を用いてシリコンウェーハの鏡面研削が可能となることが判明した.
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