研究分担者 |
金山 公三 通産省工業技術院,名古屋工業技術研究所, 構造プロセス部, 主任研究官
丸谷 洋二 大阪産業大学, 工学部, 教授
楊 剛 日立造船情報システム株式会社, 研究者
塩見 誠規 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90263227)
森 謙一郎 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (80127167)
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研究概要 |
粉末の初期密度を増加させることが溶融固化部内の空孔欠陥を減少させることが出来るという,昨年度の研究の結果をもとに,金属粉末を用いたレーザプロトタイピングの研究において50WのパルスYAGレーザーに粉末圧縮装置を付加したシステムを作成し実験を行った.また,熱伝導を考慮した解析も行い現象の解明も試みた. 実験の結果,レーザプロトタイピング用の材料金属粉末としてクラッデイング(肉盛り)加工用粉末が適していることがわかった.本研究ではNi基合金とCo基合金のクラッディング用粉末について実験を行った.その結果,溶融固化部分に空孔のない緻密な固化が可能でった.成形物の強度試験の結果,Ni基合金では約800HV,Co基合金でも約600HVの硬さを得ることができた.Ni合金では脆性が問題となったが,成形後の熱処理によりねばりが生じ脆性が軽減されることを確認した. 本研究では,2次元に固化した層を積層させることにより3次元体を作成する.そこで積層時の層間の接合性,強度を確認するためのモデルとして,レーザクラッディングを用いた.この実験により,母材と肉盛り用粉末との溶け込み量などの溶融現象を調べた.その結果,ピーク出力が大きいほど溶融量が増え,母材への溶け込み量も増加すること,またビーム照射時の余熱が接合強度の増加に有効であることがわかった. 3次元体の成形方法について新しい提案を行った.本手法ではレーザビームをスキャンさせて面を作成すると多くの時間を必要とする.そこでシェルと内部に強度を持たせるための梁を作成し,空洞内部には樹脂もしくは低融点合金を流し込み強度を上げる方法を提案した.実際に3次元体の試作も行い,本手法の可能性を確認した. これまでの研究により,粉末の熱伝導率および吸収率が成形性に大きく影響することがわかっている.そこで熱伝導を考慮した解析を行うことによって,これらの現象の解明を試みた.解析には熱伝導有限要素法を用い,実際の粉末から熱伝導率を求め計算に使用した.計算結果と実験結果の比較も行い,計算の妥当性も確認した.その結果,粉末の密度にともない熱伝導率が大きくなると溶融量は小さくなること,レーザのピーク出力を大きくすると粉末は蒸発する温度にまで加熱されることなどがわかった.
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