研究概要 |
CIM環境下における生産システムの計画・運用支援のために,様々な生産活動を分散型シミュレーション技法を用いて分散型仮想生産システムとして実現することを目的として,本年度は以下のような研究を行い,来年度の研究の基礎となる成果を得た. 1.仮想生産システムの基本構想立案:工場における生産活動,特に情報の流れ,について考察し,構築すべきシステムの機能的,構造的関係を明らかにし,仮想生産システムの基本構想を策定した. 2.仮想生産システムの設計仕様の設定:CIMの設計・運用評価に必要な意思決定支援機能の明確化に努め,他部門との情報交換や協調を可能とする大局的な生産計画,管理技法の導入やインテリジェント化に対する適応性について検討し,仮想生産システムを構築しうる要求仕様の策定を試み,構想を得た. 3.生産システム・シミュレーション用ソフトウェアの検討:既存の生産システム・シミュレーションソフトウェアの大規模システムの表現機能や適用可能性を,分散型シミュレーション・システムの要素システムとしての通信機能および拡張機能の面から検討した.SLAMおよびsmpl言語を中心に検討し,その利用可能性を確認した. 4.分散型シミュレーションに関する研究:分散型シミュレーション・システム構築の核となる要素システム間の通信と同期の問題を検討し,仮想生産システムの効果的な構成のために有効な方法を探究し,タイムバケット法を提案した.また,その拡張を図り,生産システム向きの同期法を開発した. 5.分散型シミュレーション・システムの実験的な構築:以上の成果を総合して実験システムの構築を試み,全体的な問題の抽出を試みるとともに,バケット型同期法の有用性,限界,問題点を明らかにした.
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