研究概要 |
本研究の目的は,木質材料にフェノール樹脂を注入し無酸素雰囲気中で焼成して得られる新しい多孔質炭素材料「ウッドセラミックス」のトライボロジー特性を体系的に解明することにある. 平成7年度の研究において,中質繊維板にフェノール樹脂を注入し,800℃で炭化させたウッドセラミックスが低摩擦を示し,かつ耐摩耗性にも極めて優れることが明らかになった. この結果を踏まえ,平成8年度は,前述の条件で作成されたウッドセラミックスについて,軸受への応用のためのトライボロジー特性の評価試験を行った. 得られた主な結果は以下の通りである. (1)ウッドセラミックス製軸受とステンレス鋼製軸の組み合わせにおいては,大気中無潤滑の条件下において,すべり出しの静摩擦係数は,動摩擦係数とほとんど同じ低い値(約0.15)を示し,極めてすべり出しの摩擦特性に優れることが示された. (2)ウッドセラミックスの比摩耗量は,大気中無潤滑の各件下において,10^<-8>mm^2/N以下の極めて低い値を示した. (3)ウッドセラミックスを軸受材に用いることにより,完全無潤滑タイプの直動型すべり軸受システムを構築することができた.
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