研究概要 |
(1)パーティクルカウンターによる微粒子径計測の高度化の一環として,自作の粒径センサの計測で得られる粒径分布と各粒子径のパルス波高確率から変換行列を用いて粒子サンプルの粒径分布を求める手法を研究した.すなわち,パーティクルカウンターは,入力される粒径分布関数(入力関数)Gと出力としての粒径分布関数(出力関数)F,およびカウンターの応答関数Hからなる系と考え,Hにパルス波高確率,Fに各粒径の粒子数の計測値を代入して,連立1次方程式をGについてGauss-Seidel法により解くことにより,粒子サンプルの粒径分布とほぼ一致する分布が得られることが明らかになった. (2)すべり軸受材料WJ2のすべり摩耗試験と同時に,パーティクルカウンターを用いて潤滑油中に排出された摩耗粒子の個数と大きさをリアルタイムで計測した.WJ2の摩耗形態を摩耗粒子,摺動面の観察から明らかにし,この関係に基づいて摩耗粒子の計測データを解析し,オンラインモニタリングによる摺動面劣化診断の可能性を示した. (3)実機スラスト軸受をモデル化した摩擦摩耗試験機を試作し,すべり軸受材料WJ2の表面損傷の診断に関する研究を行った.その結果,なじみ期間と定常期の間の摩耗面の性状と摩耗粒子の違いを明らかにできた.これらの知見に基づき,パーティクルカウンタを用いてオンラインモニタリングすると,摩耗の進行過程を的確に捉えることができる可能性を得た.
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